建設業で必要な建設業許可ですが、「大臣許可」と「知事許可」という2つがあり、さらに「許可換え」が必要となる場合があります。特に許可換えについて詳しく解説します。
建設業許可とは
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に、国または都道府県から取得しなければならない許認可です。
1件の請負代金が税込500万円以上、建築一式工事の場合は1500万円以上、または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅の工事を請け負う場合に、この建設業法に基づく許可が必要になります。
建設業許可は、29業種に分類される工事ごとに取得する必要があって、「一般建設業」と「特定建設業」の区分がありますが、営業所の設置状況に応じて「国土交通大臣許可」または「都道府県知事許可」という種類もあります。

大臣許可とは
大臣許可は、複数の都道府県に営業所がある建設業者が取得する許可のことです。本店が大阪府にあって、支店が兵庫県にもあるようなケースでは、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
大臣許可は、申請や更新の手続きがすべて地方整備局で行われるために、知事許可よりも手続きに時間がかかることがあります。また、許可取得後の変更届や決算変更届も大臣宛に提出する必要があります。
知事許可とは
知事許可は、営業所がひとつの都道府県内にしかない建設業者が取得する許可です。たとえば、兵庫県内にだけ本店がある場合には、兵庫県知事の許可を受けることになります。
知事許可の申請や届出は、原則として営業所所在地の都道府県庁にて行います。手続き期間が比較的短くて、地元での営業が中心の業者には、知事許可で対応することができます。

許可換えとは
建設業許可の許可換えは、営業所の増減などにより「知事許可」から「大臣許可」へ、または、その逆に「大臣許可」から「知事許可」へ許可の種類を変更する手続きのことです。
知事許可で運営していた建設業者が、新たに他の県に営業所を設置した場合は、大臣許可への「許可換え」が必要になります。
この場合、単に変更届を出すだけではなくて、改めて新規許可申請と同等の手続きが必要となります。
知事許可から大臣許可への許可換え
1つの都道府県内で営業していた事業者が、新たに別の都道府県に営業所を設置して、2つ以上の都道府県にまたがって事業を行うようになる場合です。
大臣許可から知事許可への許可換え
2つ以上の都道府県に営業所を設置していた事業者が、営業所の統廃合などによって、1つの都道府県内のみで営業所を置くようになる場合です。
それぞれの違いと注意点
項目 | 大臣許可 | 知事許可 |
---|---|---|
対象 | 複数の都道府県に営業所がある場合 | 一つの都道府県内のみ営業所がある場合 |
許可者 | 国土交通大臣 | 各都道府県知事 |
申請先 | 地方整備局等 | 都道府県庁等 |
申請期間 | 比較的長い | 比較的短い |
書類数 | 多め | 少なめ |
建設業法第9条(許可換えの場合における従前の許可の効力)
1 許可に係る建設業者が許可を受けた後次の各号の一に該当して引き続き許可を受けた建設業を営もうとする場合において、第三条第一項の規定により国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けたときは、その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の許可は、その効力を失う。
1.国土交通大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなつたとき。
2.都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなつたとき。
3.都道府県知事の許可を受けた者が二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなつたとき。
注意点
営業所の定義は「請負契約の締結を行う場所」であって、単なる倉庫や作業場は営業所に該当しません。
許可換え新規の場合、新しい許可が下りた時点で従前の許可は自動的に失効するので、廃業届を出す必要はありません。したがって、許可の無い空白期間も生じることありません。
許可の有効期間は5年間です。更新手続きも許可区分に応じた窓口で行います。